中日新聞発行の山岳専門月刊雑誌「岳人」が、この夏で廃刊になる。
「岳人」の名は、モンベルが買い取るので残るという。
モンベル?、だったら廃刊にして欲しかった。
学生の現役時代やOBになって暫くも、「岳人」に記録を出すことが、その山行の一つの評価だった。
当時の他の人の記録は、私なんかには遠く足元にも及ばないスゴイ記録ばかりだった。
そんな中に自分の山行も記録を載せることが出来ると大いに張り合いになった。
自分程度の技術でも行ける、未記録のルートを探す。正に重箱の隅を突っつくような話しだ。
今でこそ、山の天気が悪ければ「山は逃げない」と呑気なことを言って引き返せるが、当時は、今回引き返したら、その未記録のルートを来週他の人が登るかも知れない、とそうは簡単には引き返せなかった。
そんな訳で、悪天候の予備日ギリギリまで山中に残って、とうとう諦めて降りてきたら、クラブの本部では「遭難対策本部」を立てねばならないか、と言う状況にまで心配かけてしまっていたことをいまだに反省点としてよく思い出す。
「岳人」、その廻りには色々な思い出が残っている。
当時、「岳人」以外に「山と渓谷」という月刊雑誌もあった。
でも、「山と渓谷」は、ハイキングプラスアルファ程度にしか見えなかった。アルピニズムとは無縁の存在だった。山と渓谷社のアルピニズム誌は「岩と雪」だった。
今は、自分にアルピニズムなどという気概は微塵もない。
アルピニズムを追う人も少ない。
それは分かっている。
でも、そういう気合いの入った山行記録を読んでいたい。
それが出来なくなった、残念だ。