歩きやすいローカットシューズ

幅広足の私には救世主のような靴、 ALTRA Olympus2.0M

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見て下さい、このブサイクな程の幅広の靴。

この靴は、登山用ではなく、山の中を走り抜ける トレラン 用のシューズです。

普通の足幅で、アプローチシューズを履いていても足に痛みがないのなら、あるいは、多少の痛みはあっても余裕で我慢出来るのなら、山用の アプローチシューズ La Sportiva の Boulder X の方が、山の登下降や歩行には優れている。

なので、足が幅広で靴に悩んでいる人でなければこの記事は意味がありません。

例えば、日帰りで穂高に入り、帰路に、徳沢から上高地まで平坦な観光道を帰る場合、 La Sportiva の Boulder X の場合だと、もう既に足の指には靴ヅレを起こしている場合が多いので痛いのを我慢して歩くことになるが、この ALTRA Olympus2.0M だと標高差1000m以上を下ってきても全く痛み無く、違和感なく、快適に歩いて帰ってこられる。勿論、上高地まで降りてきても靴ヅレなんて起こしていない。実に有り難い靴だ。

 

この ALTRA 社の靴のコンセプトが、裸足になった時、人の足は幅広だ、なのでその自然な形の幅広の靴を作る、と言うものだ。大賛成。

 

○ この靴との出合

2ヶ月程前の6月上旬に、「山の店とエスプレッソの散歩道」(関内から横浜東口)を歩いて、カモシカでこの靴が陳列されいているのを見た。そして、その靴幅の広さに驚いた。

すぐに試し履きさせてもらった。

どこもあたる感じが無く良い具合だった。

その場で買おうと思ったけれど、余りに奇妙な形だし、表皮も変わりすぎているので一瞬躊躇して店の人に聞いてみた。

「これトレラン用のシューズですか?」

「ハイそうです。150Kmとか走っても大丈夫な靴です。」

「山用、登山用なんですが、何か不都合ありますか?」と聞くと、その店員さん、私の頭から足先まで舐めるように眺めてから

「見た感じ、お客さん、山用では無理です」

と言われた。確かに私は ランニング は全く苦手だ。しかたなく、ションボリ帰ってきた。

でも、山を走る トレラン シューズが登山では無理って何でなんだろうとネットで調べてみた。

トレランシューズがダメなのではなく、単に、山はハイカットシューズという「信者」の妄想に過ぎないと分かった。

私は逆だ、雪がなければ山は ローカットシューズ の「信者」だ。

夏山で ハイカットシューズ ??? バッカでないの?という派だ。

なので、早速翌週、カモシカへ行き、いつも何かとお世話になっている店員さんに、3つ程サイズ出してもらって試し履きして買ってきた。

 

○ この靴の特徴

1.足幅が広く、下降でも全く足先が痛くない。

なんと言っても、足幅が広く、今までは、下降時に足先が痛いのを我慢してしていたが、その痛みから解放されたのは大きい。

 

2. フラットな足のグリップ力は驚異的

もしかして滑るか?と思われるような一枚岩の上にベタッと足を置く。

いわゆるフルフラットな足の運び。

これがビックリするぐらいのグリップ力を持っている。

ピタッって岩に吸着している。ものすごい安定感。

靴底はあの ビブラム 社。

そのビブラム社が「MEGA GRIP compound」と刻印しているのだから、余程の自信作なのだと感じられる。

靴底全体のグリップ力、間違いない。

 

3.かかとのクッションがよく効いている

元々、私は、下降でヒザが痛くなることは殆ど無い。けれども、ヒザに衝撃が加わらないように強く意識している。その歩き方(下降の仕方)をしていると、この靴の場合、下りきって、殆どヒザに負担が掛かっていないのが分かる。

但し、この靴底がぶ厚い=クッションが良いのには短所もある。

それは、30cm四方ぐらいな石に足を載せ体重を移動した時にほんの少しではあるがグラッと石が右や左に傾く時がある。そのとき、靴底が厚い分=クッションが良い分、グラッとの傾きが倍増する感じがする。とっさに足首で調整する力が倍程いる。足首が弱いとツライと思う。

一般的には、この調整力のために ストック を持っているのかも知れない。

 

4. 防水性ゼロ、撥水性抜群

最近の靴の多くはゴアテックスを使用した 防水 性能のある靴が多いが、この靴の発想はどうやら全く逆のようだ。

表面は、まるでポリエテチレンで作った台所のシンクの水切りゴミネットのようだ。

防水性能ゼロ、保水性能ゼロ、よって撥水性能抜群、という感じだ。

事実、葉末の朝露一滴に触れても、アッ濡れた、と分かる。

靴下は湿っているのだろうが不快感はない。

どうもランの途中に水たまりがあってもそのまま走り抜けろ、という気がする。

この靴買ってすぐに厚木の弁天岩へ行った。岩を登るためではない。トラバースとかして岩場での調子を見るためだ。その帰りに、岩の下を流れている大沢川を20~30mジャブジャブ歩いてみた。水中の石にもグリップ力は衰えたとは感じなかったし、水から出て2~300mも歩くと足の甲の部分はもう濡れた感じはない。

底は厚いしクッションが効いているだけに濡れたままだし、家に帰ってからしっかり干さないと乾かない。

足の甲の部分の防水性は全くないが、気にならない。そう言う靴だ。

但し、ポリエチレンネットの様な表皮なので、コスレには非常に弱い。

トレランでは考えられないガレ場を歩いているとは言え、まだ80km程しか歩いていないのに左の小指の所はポリエチレンネットが切れかかっているし、右はもう5mmほど穴が空いている。

耐久性には 山の靴 としてはたいそう悪いらしい。

 

最後に、

○ クライミング

まず、爪先で3~4cmのスタンスに立つなんてほぼ無理だ。

足の指が左右に動かせる程広がっているので、一箇所に力を集中して立ち込むのは基本的に考えられていない。自分でかなり意識して4本の指を親指にくっつけると多少は違うのかも知れない。

本来の ラン の人が、地面を蹴って行きやすいように指先はかなり上を向いている。なので、立ち込む時にカカトをうんとあげてつま先立ちのようにすると立ちこめやすいが、カカトをあげる登り方は過去にやったことがないので登っていく自信は全くない。

唯一確実に登れる方法は、爪先ではなく、親指のつけ根で立ち込むスタンスだ。

これは非常に安定している。

つけ根で立ち込むと言うことは、カカトを岩に近づけると言うスタイルになる。両足それをやるとものすごいガニ股になる。不細工な形で登るのは仕方ないとして、これで登り切れるルートはどれほどあろうか?

ということで、ルートピッチ3級以上のルートならクライミングシューズを別途持参しなくてはならない。

アプローチシューズ の La Sportiva  Boulder X なら気にせず、登っていける岩でもこのトレランシューズでは少なくとも私には無理だ。

まあ、クライミングシューズはそう嵩張るわけでもなければ重くもないので担いでいくことに気にはならないが、岩の前後で履き替えが発生する、その時間がもったいない。

 

 

以上の結論として、

地下足袋の方がよっぽど登れる程に、クライミングには甚だ向かない。

表皮のコスレに対する耐久性が甚だ悪い。

こういった大きな欠点はあるが、いくら歩いても足が痛くならない、これは何にも代え難い素晴らしい靴だ。

ALTRA Olympus2.0M ありがとう。

 

 

 

 

 

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