山の磁石

山で磁石は必需品だ。それは間違いない。

必需品だから持って行くが、折角持って行っても使えない人、すなわち地図が読めない人が多いらしい。そうなるとただの荷物に過ぎない。

今回は、地図が読めない人の話ではなく、地図は読めるけど、本当に磁石は使い物になるのか?と言う視点の話しだ。

先日、裏丹沢の黍殻山(キビガラヤマ)へ径のない尾根を登って径のない尾根を下ってきた時の反省でもある。

普段から磁石は持って山にはいるが、磁石は、小物袋に入れ、その小物袋は防水袋に入れるので、ザックの底の方になっていてまず磁石を利用しない。最近は沢登りでさえ、ガイドブックに載っている沢ばかりなので概念図と地形図があれば磁石は要らない。

しかし、黍殻山の時は、地形図以外何の情報もないので磁石は必須と、久々に出発時から首にぶら下げて登っていった。

登りでは勿論磁石は要らない、地形図だけで現在地を把握しながら登っていける。これは、要は上へ上へと目指せばよいだけなので目指す山頂が北にあろうが南であろうが全く気にする必要がない。仮に分岐があったとしても、高い方を目指せばよいからだ。

しかし、下りはそうはいかない。今自分が山から下りてきた方角以外は全部下りなので目的の次のポイントは東西南北どっちなのか確実に追いかけないとどこへ行くか分からない。

黍殻山でもそうだった。ここの山頂は、なだらかで広く、樹林に覆われているので下りたい尾根が見えない。山頂なので現在地はピンポイントで分かっているし、目指す尾根の方向(東西南北)も分かっている。こうなると磁石で方向を定めて下り始めるしか方法はない。

こうして下り始め、登りと同様に傾斜などから地図上のどこを歩いているか常に現在地を意識して下っていった。何ヶ所か、尾根が2つに分岐するようなところがある。でもそれらの尾根は分岐点からは見えない。また磁石に頼って目指す尾根の方向を割り出し下って行った。

で、反省点とは、山頂で磁石に頼ったのは当然として、尾根の下降途中で磁石が必要だったか?という点にある。磁石で確認しながら降りていく、と決めてかかっていたから躊躇無く使ったが、よくよく考えると自分は尾根にいる。ということは、冬の時期なので落葉のお陰で、左右の谷の様子や前方の尾根の形状などうかがい知ることが出来る。尾根と谷の形状と現在地が分かれば、登りの時と同様に磁石なしで地形図のみで方向がわかり、尾根下降が出来たのではないかと思う。

地図読みに失敗したと反省している。

もっともこれは地形が読める時の話しで、雪山のホワイトアウトでは通じない話だ。

通じないとは、ホワイトアウトでは、地形図も磁石も意味をなさない、と言うことだ。磁石は現在地が分からないと東西南北が分かっても意味がない。ホワイトアウトでは現在地が分からないのだ。

 

 

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