避けられたかも知れない西穂高の遭難

この正月登山の遭難で、剣・小窓尾根と明神東稜の事故は仮に自分が参加していたら同じ運命にあったと思うと書いた。そんな中で西穂だけは同じ行動を取ったかどうか考慮の余地がある。

それは、まず、森林限界を超えて進もうとしたかの判断ポイントがある。

そこに居れば、この程度なら何とかなると判断して森林限界を越えたかも知れないし、頑張っていっても天気は悪いし、と憶病風に吹かれて進めなかったかも知れない。

もう一つは、西穂の直下の雪岩稜でこれを越えて山頂を踏んで西穂小屋へ逃げ込もうと思ったか、それはこのメンバーではキツイとここで撤退をするように動いたか分からない。

西穂の直下で体力的にも精神的にも全員に余裕があれば進んだだろうが、疲れが出ていたり、イケイケもう山頂はすぐそこだと気合いが入っていなければ進むのは止めたと思う。

理由は、西穂の山頂からが厳しいからだ。

たしかに、登山道があるし夏なら整備もされている。しかし、吹雪かれると厄介な稜線になる。疲れてもザックを置いて休むところがない。仮にザックを置けても吹き飛ばされそうな風を遮る物は何もない。だから、西穂の山頂からピラミッドピークを越え独標を越えて岩稜が終わるまで一気に行かざるを得ない。それだけのパワーが全員に残っていないと西穂を踏んではいけない。

また、西尾根上では強風といえども右側から吹いてくるので顔を左に向けながらなら耐えていける。しかし西穂を踏むと90度折れて南へ向かうので吹雪は正面から顔面を襲う。顔面から吹雪かれると足下が見えない。それでも風上に向かって押し進み岩稜を上り下りしなければ独標には届かない。そんな主稜線は西尾根の雪稜よりかなり体力が要求される。西尾根より更に厳しくなる主稜線に突っ込んでいくだけのパワーが全員に無ければ、西穂の山頂を踏んではいけない。来た径を戻るか北西尾根へ撤退せざるを得ない。

もし、私がそこに居たら、やはり同じように西穂を越えていったのだろうか街の中では判断できない。

 

 

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