一つで済んだはずの命を二つも失って

岩登りなど厳しいところを登る時は二人の人が命綱のロープ使って登る。

これは一人が滑落しても他方の人がロープで確保をして滑落距離を短くして墜落死を防ぐための登り方だ。

しかし、この10日ほどの間にロープで繋がった2名が墜落死をした事故が2件あった。

一つは、2013年3月12日に、群馬県安中市の五輪岩で埼玉県の50台と60台の男性二人がロープに繋がったまま死亡していた。

二つ目は、2013年3月23日から2泊3日で鹿島槍へ向かった東京の女性2人(37歳と36歳)が荒沢の頭から300m程下の雪の上でロープに繋がっていたまま死亡しているのが見つかった。

結局この二件とも確保者が滑落者を止めることが出来ず、自分も弾き落とされている。ロープに繋がっていなければ、遭難死は一人で済んだものが、安全のための登攀方法が二人目まで巻き込んでしまっている。残念な事故だ。

山の月刊誌の山と渓谷 2013年2月号に、雪の富士山登山の写真ガイドが出ていた。そこには、ここで滑落したら命はないと言うような説明書きをした写真があった。写真を見ると傾斜がきつく氷化した雪面にアイゼンはほとんど刺さらず、靴底は雪面から2cm程浮いた登りで、二人がロープに繋がって歩いていた(コンティニアスと言う登り方)。ここで一人が滑落したら他方がそれを止めるなんて無理だろう。少なくとも私は止めることは出来ない。恐ろしい写真だった。

安全ガイドのはずの月刊誌がこれほど危険な登り方を見せるのだから、今回の2件の事故は起きても仕方がない、と言うことなのかも知れない。

でも、気持ちは、滑落者を止めることが出来ないのなら、ロープを繋ぐのは止めて欲しい。

 

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