アリバイ登頂 - その3

日帰りでのアリバイ登頂。

南アはどの山もデッカイので日帰り向きではない。日帰りを試みるにはそれなりの体力と進むか撤退かの判断できる経験が必要になる。熟年になってから始めた登山者とか最近はやりの百名山登山者では日帰りは止めておいた方が無難だ。

逆に言えば、体力はすっかり落ちたとは言え長年の経験から私は日帰りで狙えるところは日帰りのアリバイ登頂を狙え、と言うことになる。

そこでまずは塩見岳の日帰りを考えた。

ここは長野県大鹿村の鳥倉山駐車場から日帰りが可能なルートがある。ただ残念なことに往路と復路が同じ径、いわゆるピストンという登山形式になってしまう。登山口に当たる駐車場の標高が1600m、塩見岳の山頂は3046mと南アにしてはその標高差は少ない1400m程しかないので楽に行ってこれそうだが、途中に三伏山と本谷山があり、往路ではそれぞれの山を越えて先で100mと250m程標高を下げねばならない。すなわち帰路は250mと100mの登りが待っていると言うことになる。

で、結局実際のところ、本谷山の先で、今からまだ200mも下るのか、帰りはその分登ってこなければならない。ウーン、無理だ、と撤退した。

ところが、帰宅後によくよく地図を見ると本谷山から先での下降は、250mではなく150m程と判明した。

私が地図を読み間違えた? そんなことはあり得ない。

実は、塩見岳登山の前日に買った国土地理院の地形図に記された登山道が古すぎた。昔の250m下降のルートが記されていた。出発の前日に買った地図ですよ。

スマホの山旅ロガーと地図ロイドでルート確認していたら、この失敗はしなかった。スマホの地図は新しいので、150m下降の新しい=正しい登山道が記されていたからだ。残念。

古手の登山界には、GPSを使うのは邪道、紙の地図と磁石で現在位置を確認という風潮が今なお非常に強い。それが脳裏にあったのだろう、GPSアプリのスマホを使わず、紙の地図を見てしまったのは・・・というのはウソ。単に紙地図の方が一覧性があって見やすかったからだけだ。

かくして、3000m峰アリバイ登頂の初回は失敗に終わった。

まあ、南アの山を知る上では非常に良かった山だったとも言える。

 

結局、日帰りの南ア3000m峰のアリバイ登頂第1座目は、一番簡単そうだった聖岳となった。

便ヶ島から聖岳へのピストン。

単に登り一方で山頂に達し、下り一方で元の便ヶ島まで戻ってくる、恐ろしくつまらない登山だ。しかもヒルに吸血されていたという、不愉快極まりない山だった。

そして10日後に、塩見岳へ登った。

こちらも登山道を日帰りのピストンなので、やはり面白い訳が無いが、一点だけ驚いた光景を見せられた。

それは、塩見小屋を2~30mバイパスして通る径があるのだが、その径の通行に邪魔になる這松と石楠花が何本も伐採されていた。おそらく山小屋の主が剪定したのだろう。これが山で活きる小屋の主人がすることだろうか?あまりに無惨な光景だった。

 

 

 

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