【山 域】穂高・明神岳主稜 奥明神沢から明神主稜 日帰り縦走
【日 付】2014年 5月31日
【時 間】06:20 上高地(バスターミナル) 06:25 河童橋
06:40 岳沢登山道入口 07:10 7号標識
08:50 岳沢小屋(横を通過) 09:35 奥明神沢左岸・第1ルンゼ出合 ~ 09:40
10:05 奥明神沢左岸・第2ルンゼ出合 11:00 ダイレクトルンゼとの分岐
11:25 稜線=前穂・明神最低鞍部 ~ 11:35 12:20 明神岳主峰 ~ 12:40
13:00 2峰 ~ 13:10 13:50 4峰
14:05 4・5のコル 14:25 5峰 ~ 14:35
14:55 5峰西南稜 肩 テント場 15:25 トラロープ帯通過 ~ 15:45
17:00 7号標識 ~ 17:05 17:30 岳沢登山道入口
17:40 河童橋 17:45 上高地(バスターミナル)
【メンバー】単独行
(地図や写真をクリックすると大きいのが別ウィンドウで表示されます。でもIEは?)
(地図はGPSログではありません。手書きです。)
ルート(地図をクリックで拡大表示します)
3年前(2011年)の5月下旬、岳沢奥明神沢の左岸の2つ目のルンゼを詰めて明神主峰と2峰のコルに出て、5峰へ縦走したことがある。
その時は5峰からの下降に思わぬ時間が掛かって最終バスに乗れず、一緒に奥明神沢まで入ったNさんに大変な心配とご迷惑をおかけした。
今回は、その反省もあって、一番簡単に明神岳の稜線に上がれるように、岳沢の奥明神沢を詰めて前穂高と明神岳の最低鞍部に出ることにした。
これは、いつの季節にでも使えるルートではない。
4月下旬から5月下旬まで。期間限定だ。
岳沢小屋から明神岳の稜線にまで奥明神沢に雪が残っていて、登路として利用でき、しかも明神岳の主稜線は雪が消えてアイゼンの脱着を繰り返さず、サクサク歩ける。
この2つの条件が満たされるのは、5月下旬のわずかに10日程しかない。
この10日程に、休みと晴天を合わせるのだから、益々、チャンスは少なくなる。
この期間限定のタイミングなら、私にも日帰り(初発バスで上高地入りして、終バスで上高地から降りてくる)山行が可能だ。
もっと足の速い人には、他の季節にも色々なルートで明神岳主稜の日帰りは可能だと思うが、私には、なかなか難しい気がする。
沢渡からの初発バスに乗って上高地入りする。
いつものようにプリントアウトした計画書を投稿して、さあ出発。
河童橋から見上げる明神岳
岳沢登山道の7号標識
ここまで来ると冷えていた身体も暖まり、
防寒用に着ていた古いレインウェアを脱ぐ。
今日も明神5峰西南稜から右手の踏み跡に降りて来れますようにと願かける。
前明神沢の先で岳沢に一度出る
西穂高の稜線
どれか一本、冬に登ってみたいものだ
風穴の手前から見る西穂高の稜線
(この時期、風穴はまだ雪で埋まっています)
7号標識付近で先行する単独の方に一度は追いついたが、この辺りからまた離され、もう追いつくことは出来なかった。
小屋見峠から見る岳沢小屋
小屋見峠から見る天狗沢・間ノ沢・西穂高沢
奥穂高南稜と吊り尾根
岳沢の雪の消えた石のところで荷物を置いてワカンを履き、小屋には寄らずに直接奥明神沢へと入っていく。
この季節の午前中の奥明神沢はアイゼンでも全然潜らないので左岸・第1ルンゼの出合でワカンからアイゼンに履き替えた。
左が奥明神沢、右は左岸・第2ルンゼ
3年前は、右の左岸・第2ルンゼを詰めて、明神主峰と2峰のコルに出た。
奥明神沢のシャーベット状の雪渓
この奥明神沢の谷幅と傾斜は、私のスキー技術では無理
3年前、Nさんは「アッという間だったよ」と言っていた・・・
目指す前穂高・明神岳の最低鞍部も間近に見えてきた
それにしてもしんどい登りが続きます
もう小屋から600m近く登ってます
前穂高に上がるダイレクトルンゼは左へ、
明神の稜線に出る私は右へ
前穂高・明神岳の最低鞍部 直下
奥明神沢の雪渓は、鞍部にまで2m程届いていない
想定通り奥明神沢の雪渓は、前穂高・明神岳の最低鞍部までほぼ繋がっていた。
雪が繋がっていないと落石をせずにコルに出るのは至難の業になる。
落石をすると、奥明神沢をものすごいスピードでどこまでも落ちていく。
ここで落石は絶対に許されない。
だから、雪が繋がっている「期間限定」のコースとなる。
コルから見る奥穂高から西穂高の稜線
ここから縦走の終了5峰までこの景色が楽しめる
コルから見る梓川
前穂高・明神岳の最低鞍部
やっと到着。
小休止。
まだ12時前。
縦走に入れる。
もうアイゼンは要らない。
前穂高・明神岳の最低鞍部からは、Ⅱ級程度の岩登り
この簡単な岩場、登る場合は、出来るだけ右手、奥明神沢側へ行く方が簡単です。
ただ、少し高度感が出てこなくもないですが・・・
逆コース(明神主峰から前穂高へ向かう)の場合は、通常、ここは懸垂下降。
コルを見下ろす
岳沢槍と前穂高
稜線に残る雪
この雪の壁、高さが2m半程もあって、急です。
しかも、気温が上がって、蹴りこんでも足場を固めることが出来ず・・・
梓川側の這松帯を越えていきます。
岳沢槍・三本槍・前穂高を振り返る
ついに明神主峰が見えた
右奥の黒いピークは明神2峰です
奥穂高から西穂高の稜線
岳沢小屋は、足元遥か下に小さく
明神岳へは踏み跡もしっかりついています
左の雪は、東稜のラクダの背です
その上にポチョっとある岩がバットレスです
スケール小さいですが、何故か人気です
紀美子平
重太郎新道を下降する登山者
(写真最下段の中央やや左)
この辺り、緊張感無く歩けて、
天気が良いので、どちらにカメラを向けても絵になる風景で、
歩行スピードがイヤでも落ちます。
明神岳主峰に到着
主峰から見る2峰・3峰・4峰
主峰からは河童橋は見えません
河童橋から主峰が見えないことを確認したかった
2峰の壁
主峰から前穂高・吊り尾根・奥穂高を振り返る
上高地の河童橋周辺には、岳沢の写真説明(山座同定写真)が数多く案内されています。
そこでは明神岳2峰を指して「明神岳」と説明されています。
近視の強い私には河童橋から主峰は見えないのだろうか?と、気になっていました。
だからどうしても明神主峰のテッペンから、河童橋が見えるのかどうか確認したかった。
やっぱり、主峰からは見えない。
まあ、観光の方には、明神と前穂高の区別さえ必要ないでしょうけどネ。
個人的には非常に気になっていました。
これで夜、ぐっすり眠れます(そんな大げさな・笑)
1・2のコルから見上げる2峰の壁
左の凹角側を登ります
取り付のワンムーブがチョット微妙
10m程登った所から上部の壁
Ⅱ~Ⅲ級の快適な岩登り
見た目以上に岩はしっかりしています
快適な岩登りはアッという間に終わってしまいます
2峰から見る主峰と前穂高
主峰の下降のガレ場がキライ
2峰の壁を登り切った所から右へ5~6mで2峰の頂上。
主峰から1・2コルへの下降のガレ場が見えます。
ガレガレで、主稜縦走中で唯一嫌いな所です。
3年前に比べて2峰に40分早く到着です。
2峰から見下ろす河童橋
2峰から見る3峰・4峰・5峰
3峰は、中央の黒い岩
4峰は、左端のピーク
5峰は、一番奥のピーク
3峰から見る4峰・5峰と河童橋
3峰
今日も登らず、右側(岳沢側)を巻いていきます
雪の上には、今日のような足跡があります
4峰から見る3峰・2峰・主峰と東稜
縦走路中この景観が一番好き
主峰の三角錐、綺麗すぎます
4峰から河童橋とバスターミナルを俯瞰する
4峰から、主峰と東稜をもう一度
4峰から見る5峰と下降路の西南稜
西南稜の下降はキツイですよ
5峰とこれから下降する西南稜
5峰の壁
ここは簡単に抜けられます
右の雪のところからも登れます
4・5のコルはかなり深いです。
コルから5峰へ最後の登り返しだ、と気合いを入れて登り始めると、あっさりと5峰の岩場に到着します。
5峰から見る奥穂高から西穂高の稜線
この景色をず~と眺めながら歩いてきました
明神岳主稜最後のピーク、5峰に到着
5峰から縦走してきた主稜線を振り返る
5峰から見下ろす徳沢園(左側)
普段、梓川を歩いていると仰ぎ見るピーク、5峰
そこに今、一人居る
5峰から見下ろす河童橋とバスターミナル
右が5峰の肩、テント場
あとまだ一週間は雪で水は確保できそう?
楽しかった明神岳主稜線の縦走もこの5峰で終了。
一日中続いた晴天のお陰で、素晴らしい景色を堪能させてもらった。ありがとう。
さあ、標高差1000mのキツイ西南稜を下って、岳沢登山道の7号標識を目指しましょう。
テント場付近から見る2263mピークと河童橋
梓川沿いの明神館周辺で一際目立つ2263mピーク
どうして無名のピークなのでしょう?
5峰の肩、テント場
これよりトラロープ帯開始 (目の前のブッシュ)
ここまでも既にかなり痩せ尾根です
トラロープ帯終了の小コル
冬季、小さなテントならここに設営可能でしょう
トラロープ開始地点。3年前は、ここで左の明神南沢の雪渓を下降始めてスリップした。
ピッケルで止めたすぐ下で雪は消えていた。
明神南沢は下降には使えない。
右手の前明神沢はどうだろう?
雪が繋がっていたら、雪渓を下降する方が楽で速い。
5月の連休時期ならここから前明神沢に入れるが、今の時期はどうだろう?
尾根通しの下降は、もう雪は全然無いが、いくら下っても岳沢の沢芯が見えず辛い下降が続く。
あまり膝が痛くならない私のヒザも悲鳴をあげます。
ついに7号標識に到着!!
やった~、終わった~
ここまで降りてきたら一安心
どうやら今日は終バスに間に合いそう
西南稜のキツイ下降はまだまだ続く
尾根筋をそのままではなく、左の尾根へ
と言う所が2回程あります
かなりペナントは貼られていますが分かりにくい
河童橋から見上げる明神岳
無事に降りてきました
今日、一日、ありがとう
【 明神岳、いい山です 】
奥穂高から西穂高の稜線を一日中眺めながら、そして、眼下には梓川や河童橋を見下ろしながら 静かに縦走できる素晴らしい山です。 それを上高地から日帰りで楽しませてもらえるのだから、ありがたい。 穂高の中にあって、目立たない山、明神岳。 新穂高のロープウェイを利用して西穂高に登る人のほとんどが、写真さえ撮っていない明神岳。 国土地理院にいたっては、一つの「山」と認定していない明神岳。 どこまで不遇の山なんだろうと思う。 それだけに、静かな、いい山を楽しませてもらえる。 いつまでもこの静けさを残しておいて欲しい。 そして、これからも色々なコース取りで楽しませてもらいましょう。 ありがとう、明神岳。
【 明神岳と私 】
25年も昔、もうこれ以上歳を取っては厳しい厳冬期の雪山には入れないだろう、と 最後に行く冬山として、前穂高北尾根から西穂高へ一人で歩いた。 その時、ジャンダルムの基部でK大山岳部のOB現役混成チームに追いついた。 このK大山岳部は、明神岳から来た、と言うことだった。それ以来、明神岳は気になっていた。 しかし、ガイド本を見る限り、私の手に負える山には見えなかった。 以来、遠ざかっていた。 それが昨今、インターネットでいくつかの記録を見ると、私にも何とかなりそう、と思いきって行ってみた。 一度登ってからは、近くていい山、明神岳を目指すようになった。 これからも、もっと他のコース取りで楽しませてもらいたいと思っている。 とりわけ、奥又白池から明神岳縦走は歩いてみたい。 きっといつか。
【 日帰りとワンデイ 】
日帰り山行とワンデイ山行、どちらも同じに感じますが、私はこれから分けて使うつもりです。 (過去の記録を今から書き直すことはしません。 昔のはそのままにしておきます。) 日帰りとワンデイ、その区別の前に、 一般に、日帰りとは、自宅を出て、当日のうちに自宅に戻るのを「日帰り」と言いますが、これだと、自宅がどこにあるかで「日帰り」の地域が決まってしまって日本全国どこでもが対象にならないし、読む人の住む所まで規定してしまって全く一般性が無くなるので、まず、自宅という楔をはずします。 その上で、 日帰り山行、とは、 沢渡からの初発バスで上高地入りして、当日の終バスに乗って上高地から出てくる山を言います。 勿論、初発バスより遅く上高地入りしたり終バスより早く上高地から脱出するのも日帰り山行に含まれます。 これに対して、 ワンデイ山行とは、 夜中に釜トンを歩きはじめて上高地入りするとか、終バス以降に上高地に降りてきて歩いて釜トンまで出るのをワンデイ山行と言います。 従って、日帰り山行よりワンデイ山行の方が山の行動時間が長くなります。 この区別は、結局、自家用車は通行が制限され、バス・タクシーは運行されている登山口に限った話しになりますので上高地だけかな?と、感じます。 南アの広河原から奈良田とか、椹島から畑薙とかも考えられなくはないですが、ここを歩くとして、日帰りとかワンデイの対象となる山がイメージ出来ません。 戸台から北沢峠のバス便を利用する山ならあるかも知れません。 自家用車とバス・タクシーの入れるのが同じ登山基地の場合、例えば、新穂高や猿倉、美濃戸などでは、「日帰り」と「ワンデイ」の区別はありません。 まあ、いずれにしろ、今回の、奥明神沢から明神岳主稜の縦走は、「ワンデイ」まで掛けずに、「日帰り」で行った山と言うことになります。