【山 域】前穂高北尾根 八峰から 日帰り(ワンデイ)
【日 付】2014年 8月13日
【時 間】05:25 上高地(バスターミナル) 06:05 明神
06:50 徳沢 ~ 07:00 08:00 奥又白・松高ルンゼ出合 ~ 08:10
09:05 慶応尾根乗越 ~ 09:10 10:05 前穂高北尾根最低鞍部(屏風のコル)
10:15 北尾根取付=パノラマ径分岐 ~ 10:30 11:40 八峰 ~ 11:50
12:25 七峰 12:45 6・7のコル ~ 12:55
13:25 六峰 ~ 13:35 13:45 5・6のコル
14:20 五峰 ~ 14:30 15:10 四峰
15:20 3・4のコル ~ 15:35 16:15 三峰
16:20 二峰 16:40 前穂高 ~ 17:00
17:20 紀美子平 17:30 ライチョウ広場
17:50 岳沢パノラマ 18:10 カモシカ立場
18:50 岳沢小屋 ~ 19:00 19:45 5号標識
20:00 風穴≒7号標識 20:35 岳沢登山道入口
20:50 上高地(バスターミナル) ~ 21:00 22:05 釜トン入口
22:25 釜トン出口(中ノ湯バス停) 22:50 車
【メンバー】単独行
(地図や写真をクリックすると大きいのが別ウィンドウで表示されます。でもIEは?)
(地図はGPSログではありません。手書きです。)
![ルート図](./barn/20140813/map20140813MaehoKitaone_s.gif)
ルート(地図をクリックで拡大表示します)
上高地(小梨平)から行く日帰りの前穂高北尾根は三年前(2011年8月)に終わっている。
このときも北尾根最低鞍部(屏風のコル)から、八・七・六峰と全部の峰を楽しんで前穂高に到達している。
本当は、これで日帰り(ワンデイ)で行く前穂高北尾根は終わっていたつもりだった。
けれども、2~3日前から小梨平にテントを張って、体調調節をして登った「日帰りの前穂高北尾根」って、
なんかおかしくないか?と月日が経つにつれて思えてきた。
確かに小梨平は上高地だけれど、ベースキャンプからの日帰りなら涸沢からの日帰りと何が違う?と自問すると、そこに違いは見いだせない。
やはり日帰りやワンデイと謳うからには、車やバスで入って登ってその日のうちに車やバスに戻ってこなければダメだ。
それで3年前のは置いておいて再度試みることにした。
最初のトライはひと月程前、以前と同様に、夜中の12時半頃釜トンネルを歩き出し、
2時頃上高地を通過してさらに進んだものの、夜露に濡れたのか威容に身体が重く、
とてもこれでは前穂高どころか北尾根最低鞍部にも登れない、と撃沈されて、
徳沢でカッパを着てツェルトを被って夜明けを待って帰ってきた。
やはり、もう私には日帰りの北尾根は無理か、もっと若い時にやっておくべきだった、と悔やみながら一旦は諦めた。
このひと月前の計画では、厚かましくも、前穂高からの下山に重太郎新道ではなく、
明神岳を廻って帰って来るという、無茶苦茶な計画を立てていた。
明神5峰西南稜を下って、岳沢登山道7号標識で日没なら行けるかも、と思っていた。
と言うことは???
苦手な夜中出発ではなく、初発バスで上高地入りして、数時間遅れで北尾根を登り、前穂高に到達すれば、
あとは重太郎新道と岳沢登山道という道標完備の登山道とハイキング径、日没になっても道を間違うことはない!?。
初発バスで上高地入りして行けるかも?!
一気に期待が膨らんだ。1日でも早くトライしてみたい。
ただこの夏は8月に入って天気が悪い。
雨なの?晴れるの?という8月8日に天気を期待して行ってみた。
時折雨がパラつく中、北尾根最低鞍部まで出て八峰に向かって藪を漕いでみたが、2500mから上は朝から黒いガスが一度も取れたことがない。
これでは行っても面白くない、と登って来た径をションボリと降りてきた。
この日、先には登れなかったけれど、北尾根最低鞍部に到達した時間を見れば、
初発バスで上高地入りしてのワンデイ前穂高北尾根は確実に行ける、と確信できたのは大いなる収穫だった。
何度もトライして全く目処が立たなかった、夜中に釜トンを歩きはじめる方法、「愚か者、愚策におぼれる」の見本みたいなものだったらしい。
ここまで来れば、あとは確実に晴れる日を待つだけ。
そして8月に入って唯一この日だけ、1日24時間天気の持ってくれる「8月13日(水)」を掴んだ。
前夜、沢渡の駐車場に着いた。
車中泊するのにはむしろ明るいぐらいに青白い光で月は煌々と輝いていた。
朝四時に起きて準備をする。
普通、夏場の沢渡発上高地行きのバスの初発は、05:00となっている。
「特定日」は、釜トンの開門(04:50)の直後に入れるように、沢渡04:40発というバスがある。
先週入った時(8月8日)はこの特定日だったが、今日はもう違う。
それは分かっていたが、今週はお盆だし、もしかしたらと期待して中ノ湯バス停(釜トン入口)に04:55に待っていたら、
来たーッ、シャトルバスだ。
ありがたく乗せてもらう。
シャトルバスまで今日は私を応援してくれるのかと嬉しくなる。
![朝の河童橋](./barn/20140813/DSC02492_s.jpg)
朝の河童橋
前穂高に向かって、今日は登らせてネ、と願かける
朝日の当たる明神五峰が威容にデッカイ
いつものように上高地バスターミナルでプリントアウトした計画書を投函して、さあ出発。
釜トンの開門と同時に入山されたタクシーや遠距離直通観光バスの利用者は、上高地のバスターミナルか明神で朝食を取られるようだ。
明神を過ぎると、登山者の数も一気に減る。
明神では足を止めることなく一気に徳沢を目指す。
![前穂高と北尾根最低鞍部](./barn/20140813/DSC02499_s.jpg)
前穂高と北尾根最低鞍部
コルのすぐ左尾根は慶応尾根
中央部の大きな尾根は茶臼の頭
![徳沢手前で見え始めた前穂高](./barn/20140813/DSC02497_s.jpg)
徳沢手前で見え始めた前穂高
河童橋からは縦一列に見えた明神5峰と前穂高も
ここまで来ると横一列に並んで見える
![新村橋からは北尾根全景が見える](./barn/20140813/DSC02503_s.jpg)
新村橋からは北尾根全景が見える
今日の前穂高は雲一つ無い
さあ、気持ちよく登らせていただきましょう
![新村橋から仰ぎ見る五峰から本峰](./barn/20140813/DSC02504_s.jpg)
新村橋から仰ぎ見る五峰から本峰
涸沢と徳沢を繋ぐパノラマ新道はまだ開通していない(涸沢から北尾根最低鞍部に出る径にある急なルンゼの雪渓の雪切りがされていない)ので新村橋(シンムラ橋)を渡る登山者は誰もいない。
![松高ルンゼ出合から見る前穂高](./barn/20140813/DSC02509_s.jpg)
松高ルンゼ出合から見る前穂高
ほんの一時間足らずの間に雲がだいぶ出てきた
![松高ルンゼ](./barn/20140813/DSC02508_s.jpg)
松高ルンゼ
もうすっかり雪は消えている
松高ルンゼの出合は、どんな年でも8月一杯は美味しい水がふんだんに流れている。
いつもゆっくり休憩する。
今日はまだ2回目の休憩というのに、早くもアミノバイタルゼリー スーパースポーツ を1本飲む。
今日も6本担いでいる。あと5本飲めば、ワンデイ前穂高北尾根は成功していることになる。
水は、1Lもあれば充分だと思うが、次の水の補給地、岳沢小屋まではあまりに遠い。
もしもビバークするようなことになった時のことも考えてペットボトル3本(1500ml)に水を入れた。
![中畠新道(奥又白尾根)](./barn/20140813/DSC02511_s.jpg)
慶応尾根への登りの途中から見える中畠新道(奥又白尾根)
(写真の中央部の尾根です) 傾斜のきつい尾根ですネ
尾根の上端の芝生のように見える所の左が奥又白池になります
![北尾根最低鞍部](./barn/20140813/DSC02513_s.jpg)
慶応尾根乗越から見上げる前穂高北尾根最低鞍部
このピッチは、登りでも下りでも苦手です
松高ルンゼの出合から慶応尾根乗越までは、樹林が濃く陽が差さず、足元の岩や木の根は連日の雨で濡れて滑りやすい。
慶応尾根乗越から前穂高北尾根最低鞍部(屏風のコル)までは、逆に、樹林の無い南面で暑い。
息を切らさないようトボトボ歩く。まだまだ先は長い。
![最低鞍部から見る北穂高-槍ヶ岳](./barn/20140813/DSC02515_s.jpg)
最低鞍部から見る 北穂高-槍ヶ岳 の稜線
![最低鞍部から見る奥穂高-北穂高と涸沢](./barn/20140813/DSC02516_s.jpg)
最低鞍部から見る 奥穂高-北穂高
そして涸沢カール
![最低鞍部から見る八峰](./barn/20140813/DSC02518_s.jpg)
最低鞍部から見る八峰
![最低鞍部から見る槍ヶ岳と横尾本谷](./barn/20140813/DSC02514_s.jpg)
最低鞍部から見る 槍ヶ岳 と 横尾本谷
先週は、横尾本谷には雪渓が多く残っていた
今は綺麗に消えている
![北尾根への取付点から屏風の頭を振り返る](./barn/20140813/DSC02521_s.jpg)
北尾根への取付点から 屏風の頭 を振り返る
![北尾根への取付点](./barn/20140813/DSC02519_s.jpg)
北尾根への取付点
パノラマ新道は尾根からはずれて右下へ
この前穂高北尾根の取り付で本日2本目のアミノバイタルを飲む。
これより先は藪漕ぎ状態になる。
暑いが、濡れるのはイヤ、とレインウェアを上下着る。
さあ、藪に突っ込みましょう。
![八峰への登り](./barn/20140813/DSC02523_s.jpg)
八峰への登り
途中、こんな感じの踏み跡もあるが
奥又白側の斜面には入らず尾根筋を行く
藪と言っても昔はメインなルート(?)、足元、踏み跡はしっかりついている。
元 沢屋 の私には、かわいい 藪漕ぎだ。
南東向きで日当たりが良いのか雨露はなく草木はすっかり乾いている。
レインウェア上下は早々に脱いだ。
![ニセ八峰から八峰](./barn/20140813/DSC02524_s.jpg)
ニセ八峰から本当の八峰
もうすぐそこだ
藪漕ぎは軽いには違いないが2520m付近から這松帯になる。
さすがに這松とは闘っても勝てない。
右手の涸沢側の急斜面には這松はない。
そこに付けられた踏み跡を登り、這松帯が切れる直前で尾根筋に戻る。
ニセ八峰はもうすぐそこ。
![八峰のお花たち](./barn/20140813/DSC02527_s.jpg)
八峰のお花たち
今年はまだ咲いてくれていた
目の前は、七峰、その奥は、六峰
![八峰から見る 北穂高-槍ヶ岳](./barn/20140813/DSC02525_s.jpg)
八峰から見る 北穂高-槍ヶ岳
直前までの藪漕ぎが終わって、草原状の八峰の解放感、安堵感はたまらない。
正面には、これから登る峰々が鋭く尖っているし、槍ヶ岳から重畳と連なる穂高の稜線も素晴らしい。
足元の涸沢のカールも深い。
ここで よもぎ大福 を頬ばりながらゆっくり景色を堪能する。
北尾根を5・6のコルから登ったのではこの心和むピークは味わえない。
![八峰のお花畑を振り返る](./barn/20140813/DSC02531_s.jpg)
八峰のお花畑を振り返る
もっとゆっくりしていたい八峰。
心ひかれるが先へ行こう。
ここはまだ北尾根の一つ目のピークだ、先は長い。
![七峰へ向かう](./barn/20140813/DSC02532_s.jpg)
七峰へ向かう
本峰は残念ながらガスの中
![七峰へ向かう](./barn/20140813/DSC02533_s.jpg)
七峰へ向かう
厳冬期と同様、忠実に尾根筋を行ったが、
途中の3つのピークは奥又白側を巻けるのかしら?
![涸沢を見下ろす](./barn/20140813/DSC02534_s.jpg)
途中の小ピークから見下ろす涸沢のテント場
さすがに雨天続きとあってテントは例年の半分もない
![八峰を振り返る](./barn/20140813/DSC02536_s.jpg)
七峰まで途中に3つの小ピークがある
途中の小ピークから八峰を振り返る
冬のであろう、残置のロープが目に付きだす
七峰への途中の3つの小ピークは意外と痩せているが、忠実に稜線上を歩く。
全く難しくはないが、時には三点支持のスタイルにもなる。
積雪期にこの付近でロープを出すパーティが多いのも分かる様な・・・
![七峰に到着](./barn/20140813/DSC02537_s.jpg)
七峰に到着
目の前は六峰
![七峰から見る涸沢小屋と北穂高](./barn/20140813/DSC02538_s.jpg)
七峰から見る 涸沢小屋 と 北穂高
そしてザイテングラート
![七峰から見る北穂高-槍ヶ岳](./barn/20140813/DSC02539_s.jpg)
七峰から見る 北穂高 - 槍ヶ岳
![七峰から見る六峰](./barn/20140813/DSC02540_s.jpg)
七峰から見る六峰
6・7のコルまでに小ピークが1つある
![その小ピークから見る六峰](./barn/20140813/DSC02541_s.jpg)
6・7のコル直前の小ピークから見る六峰
![6・7のコルへの下降点](./barn/20140813/DSC02543_s.jpg)
6・7のコルへの下降点
懸垂の残置ロープが沢山ある
ここは懸垂せずに5m程戻って涸沢側を巻く
![6・7のコル](./barn/20140813/DSC02546_s.jpg)
6・7のコル
狭い
ここで休憩がてらヘルメットを着用する
![6・7のコルへの巻き径](./barn/20140813/DSC02545_s.jpg)
6・7のコルへの巻き径から見る6・7のコル
![6・7のコルから七峰側を見る](./barn/20140813/DSC02549_s.jpg)
6・7のコルから七峰側
この岩の上端に懸垂の残置ロープが汚く沢山残っている
懸垂せずとも、積雪期でも左の岩の基部を歩いてこれる
![6・7のコルから六峰への登りだし](./barn/20140813/DSC02547_s.jpg)
6・7のコルから六峰への登りだし
Ⅱ ~ Ⅲ 級程度、但し、短い
![おーッ、タヌキ岩](./barn/20140813/DSC02553_s.jpg)
おーッ、タヌキ岩
前回は、この付近では灌木無かったのに・・・
![六峰を仰ぐ](./barn/20140813/DSC02550_s.jpg)
6・7のコルから一段上がった所から六峰を仰ぎ見る
なんかブッシュ濃くない???
タヌキ岩。そう涸沢から、或いは、奥又白池から、どこからもすぐ分かる六峰のオブジェ。
前回は、この付近では完全にブッシュから解放されたのに・・・温暖化?
タヌキの大きなお腹をポンポンと叩いて右側から越えていく。
そのお腹にピトンが連打されているのは何とも痛々しい。
![六峰からお隣の奥又白池を見る](./barn/20140813/DSC02559_s.jpg)
六峰からお隣の奥又白池を見る
もうだいぶこちらの方が高い
よく見ると池の周りにテントが一張り
![六峰から涸沢を俯瞰する](./barn/20140813/DSC02555_s.jpg)
六峰から涸沢を俯瞰する
![5・6のコルと五峰](./barn/20140813/DSC02562_s.jpg)
六峰から見る5・6のコルと五峰
もう上高地を出発して8時間。標高差も1300m登って来た。
ブッシュ漕ぎや三点支持など上半身も使っての登り、かなり疲れてきた。
このまま5・6のコルから涸沢に降りて楽になりたい、と5・6のコルの下を覗き込む。
下部はかなり雪が残っている。
今ここで上部を放棄したらもう二度とワンデイの前穂高北尾根は無い。
前回は、ここから前穂高まで3時間半掛かっている。
同じ調子なら、今日は、前穂高到着は19時になる。無理だわ。
もう上部は止めて5・6のコルから涸沢に降りたい。
弱気になる。
だがこのいつものその弱気、計画段階から織り込み済み。それを封じてある。
雪渓を下降する簡易ピッケルも簡易アイゼンも、今日のザックには入れていない。
たとえ前穂高で日没になろうとも、重太郎新道は下れる。
行けッ!!。ひるむなッ!!
自分に気合いを入れる。
今日は逃げない。
ともかく頑張って前穂高を目指そう。
六峰から5・6のコルへは急なザレを高度差70m程下る。
前回は、このザレの下りが妙に怖かったが、今日は、這松を掴みながら下れたのはありがたい。
八峰の登りに昨日今日付けられたような踏み跡があった。ここにもはっきりとした足跡がある。
誰か先行者が居るのかも知れないと思うとなんか心強い。
5・6のコルから先は、メジャーなコースとなり、踏み跡も濃くなる。
そして五峰への登りは、標高差で200mもあるが、ただデカイだけの尾根筋を登ればよい。
![五峰の登りから六峰を振り返る](./barn/20140813/DSC02564_s.jpg)
五峰の登りの途中から六峰を振り返る
それぞれに趣のある六峰,七峰,八峰ともお別れだ
![五峰から四峰を見る](./barn/20140813/DSC02565_s.jpg)
五峰から四峰を見る
苦手な四峰、今日はどう登ろう
アミノバイタル3本目を飲みながら考える
過去2回は、四峰がイヤらしいと言う印象はなかった。
ところが3回目の前回は、踏み跡にひかれて奥又白側から登り、ザレで怖い思いをした。
その四峰の奥又白側のザレの恐怖、今もトラウマとなって残っている。
今回は、奥又白側を避けて、涸沢側から登り始めて稜上に出ることにする。
![四峰の登りの途中から五峰を振り返る](./barn/20140813/DSC02569_s.jpg)
四峰の登りの途中から五峰を振り返る
右端のピークには登らない
![四峰の登りの途中から見上げる四峰](./barn/20140813/DSC02567_s.jpg)
四峰の登りの途中から見上げる四峰
涸沢側から登り始めて、稜上にでたところ
ここから大岩直下までヒョコヒョコ歩いていける
三点支持の登りはない
![上部の大岩に手が触れる所まで稜上を行く](./barn/20140813/DSC02570_s.jpg)
上部の大岩に手が触れる所まで稜上を行く
![大岩](./barn/20140813/DSC02571_s.jpg)
大岩
ここで奥又白側へ回り込む
![四峰のテッペン](./barn/20140813/DSC02575_s.jpg)
四峰のテッペンとガスの湧く三峰
やはり踏み跡は左下の奥又白側から登って来ていた
ともあれ苦手な四峰は終わった
![大岩の先、奥又白側へのトラバース径](./barn/20140813/DSC02574_s.jpg)
大岩の先、奥又白側へのトラバース径
四峰の奥又白側のザレはイヤ、と右上へ、
大岩の上へ登り返したがショッパかった
素直に、奥又白側へトラバースするのが正しいらしい
(左下からザレの上端を上がる踏み跡)
苦手な四峰は終わった。
3・4のコルで ヨモギ大福 を頬ばる。疲れと緊張から解放されるには甘いものが良い。
ここでクライミングシューズに履き替え、スリングでシットハーネスとチェストハーネスを作る。
念のため、多少のガチャ類もぶら下げていく。
三峰のリッジは今までより傾斜はあるが岩は安定している。
とは言え、浮き石にだまされないように、岩登りを楽しめばよい。
ただ今日はもう、足は上がっても腰が重い・・・情けなや
![3・4のコルと三峰リッジ](./barn/20140813/DSC02581_s.jpg)
3・4のコルと三峰リッジ
![中間部のチムニーの中へ突入](./barn/20140813/DSC02586_s.jpg)
中間部のチムニーの中へ突入
前回はチムニー左の壁を楽しんだので
今回はチムニーに突入
![チムニーの洞穴から見る奥又白池](./barn/20140813/DSC02588_s.jpg)
チムニーの洞穴から見る奥又白池
![チムニーから四峰と3・4のコルを振り返る](./barn/20140813/DSC02587_s.jpg)
チムニーから四峰と3・4のコルを振り返る
![チムニーの先](./barn/20140813/DSC02589_s.jpg)
チムニーの先
出来るだけ早くリッジ上に戻った方が岩は安定している
![三峰から見る二峰と本峰](./barn/20140813/DSC02590_s.jpg)
三峰から見る二峰と本峰
![これ二峰](./barn/20140813/DSC02591_s.jpg)
これ二峰
三峰から二峰はすぐそこだと思っていたがまだ少しある。
これが遠いと感じるぐらいにもう疲れているらしい。
今一度、気を引き締め直す。
![二峰の懸垂下降](./barn/20140813/DSC02595_s.jpg)
二峰の懸垂下降
クライムダウンも出来るらしいが
ロープに頼れる所は頼った方が安全だ
このためのみに 20m x 8mm ロープを買い
このためのみに担いできたロープ
![二峰から見る本峰](./barn/20140813/DSC02596_s.jpg)
二峰から見る本峰
いよいよ登りもあとこれだけになった
![前穂高山頂標識](./barn/20140813/DSC02601_s.jpg)
前穂高山頂標識
こんな時間、誰もいる訳もない
![前穂高、到着](./barn/20140813/DSC02597_s.jpg)
前穂高、到着
前穂高の山頂
ついに登り切った北尾根。
前回は、ついに登れた日帰りの前穂高北尾根、と感動が一杯で嬉しくって北尾根に向かって万歳三唱した。
今回は、本当の意味でのワンデイ前穂高北尾根だ。正直、どんな感動が待っているのだろうと期待していた。
しかし、感動、そんなものはどこにもなかった。
身も心ももうギリギリだ。
そんなものを感じていられる余裕がない。
まだこれから先は長い。
まず、ここから岳沢小屋までザッと2時間。
さらに上高地まで2時間。
そして、釜トンを抜けて車まで2時間。
今が17時だから、車に戻れるのは6時間後の23時だ。
それより辛いのは重太郎新道で日没になることだ。
日没までに一歩でも岳沢小屋に近づいていたい。
![吊り尾根から奥穂高、そして西穂高の稜線](./barn/20140813/DSC02600_s.jpg)
吊り尾根から奥穂高、そして西穂高の稜線
![何とか天気も持ってくれて槍ヶ岳](./barn/20140813/DSC02599_s.jpg)
何とか天気も持ってくれて槍ヶ岳
北尾根最低鞍部からずっと見えていた槍ヶ岳、
ここでお別れだ
下山の準備に取りかかる。
靴を履き替えた。クライミングシューズからアプローチシューズに。
ロープなど登攀具はザックの底へ。
松高ルンゼの出合で入れた水は、まだ、900ml ほど残っている。
もうそんなには要らない。500ml はこの山頂に戻そう。
ここからは下降ばかりになる。少しでもヒザに負担を掛けないようにと膝サポータを付けた。
しっかり歩けるパワーが欲しい。4本目のアミノバイタルを飲んだ。
山頂は湿った風が結構強い。少し寒い。レインウェアを着ようか迷うが、歩き始めたら暑いだろうと着るのを止めた。
登山道とは言え、転倒したらヤバイ重太郎新道。ヘルメットは被っていこう。
さあ、下山の準備は出来た。
気を締めて行こう。
![明神岳とその2峰](./barn/20140813/DSC02602_s.jpg)
明神岳とその2峰
岳沢小屋は右下
上高地は中央部
さらに焼岳ふもとの釜トンは遠くて見えない
頑張って下りよう
この写真を撮ったらメモリー不足の警告が出た。
だからこれ以降の写真はない。
今思えば、過去の要らない写真を消去すればメモリー不足には対処できる。
そんなことにも気が付かなかった。
イヤ、仮に気が付いていてもそんなことしている余裕はなかった・・・
下降しはじめると、紀美子平のすぐ上でテントを張っている人が居た。
なんとしても今日中に降りようとする私、ビバークと称して気ままにテントに泊まる人、山の楽しみ方は人それぞれだ。
紀美子平では三人の人がなにやら真剣に話しをして居られる。
一声掛けただけで止まらずに下降を続けた。
振り返ると二人の人が紀美子平から下降し始めた。こう言う径に不慣れなような歩き方だと分かる。
曲がったハシゴの先でもう一度振り返ると二人の姿はもうない。
何時間掛けて岳沢小屋に辿り着くのか分からない二人。付き添って下ってあげたい気もするが、今の私にそんな余裕は微塵もない。
ただ「気を付けて」と心の中で祈るしかない。
一歩も休むことなく カモシカの立場 まで下ってきた。
岳沢の小屋はまだ先に見えるが、テントは意外と近くに見える。
この調子ならテント場まではヘッドランプの世話にならずに下れそう、と期待する。
以前、この重太郎新道で傾斜が落ちたところまで降りてきて、石ころに乗って転倒し、草むらに飛び込んだ経験がある。傾斜は落ちても真剣に下っていく。
テント場まで降りてきた。まだヘッドランプは無くても歩ける。ありがたい。
途中、ホースで水が引いてある。一口いただいて小屋へ向かった。
いつもなら上高地から家族に無事下山のメールを送る。
今日は上高地からでは遅すぎる。
今から4時間かけて車まで降りるが、もうやばい所は終わった、と携帯から電話した。
次の2時間のためにここでもアミノバイタルを飲んだ。
そんなことをしているわずかに10分の間に周りは急激に暗くなりヘッドランプを出して歩き始めた。
もう脇見をしても何も見えない。ランプで照らす足下だけを見て下っていく。暗がりとは言え、よそ見をしない分、かえって安全な歩行のような気もする。
ただ、日没直後のため、ヘッドランプの周りに虫が集まってくるのには閉口する。
良く整備された道はありがたい。一歩も迷うことなく岳沢登山道入口まで降りてきた。
こんな時間なのに、何故か 河童橋 には人が居る。ホテルの部屋にいても面白くないのだろう。
上高地バスターミナルまで戻ってきた。
誰も居ない。ここで本日最後の6本目のアミノバイタルを飲む。
ベンチで5分ほど寝転がって足を休めて釜トンに向けて歩き始めた。
バスの道を行く。
ここもヘッドランプで足元を照らし、そこだけを見て歩く。
そんな歩き方をしているので、大正池の先の右岸林道の分岐にも気が付かずに通り過ぎ、太兵衛平で営林署事務所への径に入りかけてしまった。
太兵衛平?、と言うことは、釜トンはもう近い。
しばらくしてついにその釜トンの光が見えた。
釜トンの入口で、スマホのGPSログのスイッチを切った。
そして、次は、1310mの釜トンだ。
抜けたぁ。1日で戻ってきた。
とうとうやったワンデイで行く前穂高北尾根。
けれどまだ終わった訳ではない、車まで歩くとさらに25分。
そして沢渡の駐車場まで車を走らせて、やっとこの日が終わった。
翌朝は、車の中で8時過ぎまで爆睡していた。
【 何故 ワンデイ(日帰り)にこだわる ? 】
6年前に、奥又白池から前穂高へ日帰りが出来ると知って何度かトライしてやっと行けた。 そうしたら、さらに遠回りになる北尾根を登って前穂高日帰りという記録を見た。 その日帰りの記録は、奥又白池から北尾根の5・6のコルに出て前穂高に登っていた。 自分もやってみたいと思った。 やるなら北尾根の最低鞍部から八峰、七峰、六峰と全部をワンデイで登りたかった。 何故、ワンデイで八峰から登りたいのか? その答えは、単純明快だ。 それを実行した記録が見当たらないから。 記録がないから記録を作りに行きたい。ただそれだけだ。 ネット上で記録を捜しても見当たらないから誰もしたことがないとは思っていない。 もっと若くてトライしていたなら、ワンデイではなく日帰り(初発バスで上高地入りして終バスで帰る)の北尾根を実行できていたかも知れない。そう思うと、結構な数の人が上高地から日帰りで最低鞍部からの北尾根を楽しまれているような気がする。 ただ記録がなければ、こんなことも出来ますよ、と興味を持つ人に知らせることも、こんな風に行ってきましたよ、と行程の様子を知らせることも出来ない。 だからそれをしたかった。
【 何故 八峰からか ? 】
前穂高北尾根は、ほとんどが5・6のコルから上部を登られている。 北尾根を岩尾根登りとして楽しむのであれば5・6のコルから登るのが楽しい。 そして登りついた前穂高から見る、槍ヶ岳-北穂高-奥穂高-西穂高の稜線の景色は、他では堪能できない素晴らしいものがある。 パートナーがいる場合、どうしても前穂高にいたるのが主眼となるのは全くその通りだ。 だから私も、涸沢をスタートして3・4のコルからや5・6のコルから前穂高に登っている。 しかし、この北尾根、冬季に行くと八峰から行くしかないし、夏の5・6のコルからの北尾根なら登る対象にさえならない七峰も六峰も、雪が付くとそうは簡単には通してもらえない味のあるピークになっている。 夏場も、その登路はブッシュがウルサイかも知れないが、個々のピークではブッシュもなく、五峰から先のピークからは想像できない趣を持って迎えてくれる。 むしろ逆に、五峰や四峰、三峰の頂に何か印象があるだろうか?実のところ記憶からも消えているのでは? これを切り捨てるにはあまりに勿体なすぎる。 だから、一人で北尾根を目指す時は、最低鞍部から八峰、七峰、六峰と全部を楽しませてもらう。 それに、この前穂高北尾根や槍ヶ岳の北鎌尾根は、右に左に支稜が枝分かれしないで1本の尾根がまっすぐに延びている。 なかなかそういうスッキリとした綺麗な尾根はない。 だったらその綺麗な尾根、末端から登ってみたいだろう。
【 日帰りとワンデイ 】
日帰り山行とワンデイ山行、どちらも同じに感じますが、私はこれから分けて使うつもりです。 (過去の記録を今から書き直すことはしません。 昔のはそのままにしておきます。) 日帰りとワンデイ、その区別の前に、 一般に、日帰りとは、自宅を出て、当日のうちに自宅に戻るのを「日帰り」と言いますが、これだと、自宅がどこにあるかで「日帰り」の地域が決まってしまって日本全国どこでもが対象にならないし、読む人の住む所まで規定してしまって全く一般性が無くなるので、まず、自宅という楔をはずします。 その上で、 日帰り山行、とは、 沢渡からの初発バスで上高地入りして、当日の終バスに乗って上高地から出てくる山を言います。 勿論、初発バスより遅く上高地入りしたり終バスより早く上高地から出てくるのも日帰り山行に含まれます。 これに対して、 ワンデイ山行とは、 夜中に釜トンを歩きはじめて上高地入りするとか、終バス以降に上高地に降りてきて歩いて釜トンまで出て車に戻るのをワンデイ山行と言います。 従って、日帰り山行よりワンデイ山行の方が山の行動時間が長くなります。 この区別は、結局、自家用車は通行が制限され、バス・タクシーは運行されている登山口に限った話しになりますので上高地だけかな?と、感じます。 南アの広河原から夜叉神や奈良田とか、椹島から畑薙とかも考えられなくはないですが、ここを歩くとして、日帰りとかワンデイの対象となる山がイメージ出来ません。 戸台から北沢峠のバス便を利用する山ならあるかも知れません。 自家用車とバス・タクシーの入れるのが同じ登山基地の場合、例えば、新穂高や猿倉、美濃戸などでは、「日帰り」と「ワンデイ」の区別はありません。 この区別はあくまでも私個人の分け方です。 他の方にこの区別の賛同を得ようという気持ちもありません。 人それぞれに自分なりに区別されたり、或いは、私もつい先日まで日帰りとワンデイを特に分けていなかったように分ける必要もないかも知れません。 これはあくまで自分の山の記録の整理区分に過ぎません。