お化けが恐い。そらみんな恐いでしょうきっと。
でも今までに出会ったことがある訳はない。
今年の1月末から2月末の一ヶ月間に北アルプスの焼岳へ4回登りに行って4回とも登れずに敗退して帰ってきた。
この敗退癖を取りたいと 「敗退のお祓い山行」 として、少し近めの八ヶ岳へ行って来た。
午後に横浜の家を出て甲府市内の国道20号線で夕食を取って、八ヶ岳の麓の登山口駐車場まで入って車中泊して翌朝未明に歩き始める予定だった。
八ヶ岳は北アルプスなんかに較べて近場でいい山なんだけれど私には馴染みがない。
登山口の駐車場ってどんな所なんだろう?
ガタガタ未舗装の林道を進んだ突き当たりのちょっとした広場だったら、樹林におおわれた真っ暗な広場だったらイヤだな~、と思いながら車を走らせる。
夕食後、甲府を離れ、国道を離れ、緩やかな登りの道が続いているけど、もう充分に暗い。
けれど結構まだ家もあるし工場のような建物もあるし、対向車も後続車もある。
でも、街の明るさとはほど遠い。暗い。
奥に進む程暗さは濃くなる。
もう先ほどから帰りたくて仕方がない。
でも駐車場までは行ってみよう、と頑張った。
登山口駐車場はちょうど交差点になっていて全く車は通らないけれど信号が付いていて結構明るい。
真っ暗闇ではない、ホッとして早々に寝袋に入った。
4時に出発準備をして車から出た。
勿論まだ真っ暗だし、頭上には久々に見事に光る北斗七星をみて出発した。
が、登山道はすぐに真っ暗になる。当たり前だ。
ウ~ン、昨日の暗闇の中を走る車での気持ち悪さがよみがえる。
ダメだ、先へ進みたくない。と、100mほど歩いて車に戻ってきてしまった。
ザックを車に積んで、登山靴をスニーカーに履き替えて、エンジンかけて早々に発車した。
「敗退のお祓い山行」どころか、敗退癖は悪化したようなものだ。
山の敗退理由は幾つもある。
私にはこの おばけ=暗闇の恐怖 もその理由の1つだ。
黒部川で2回、丹沢で1回、新穂高で1回。ちょっと思い返しただけでも幾つも出てくる。
一人テントでこの暗闇の恐怖に取り付かれると、翌日明るくなっても、もう先へ進む気力が無くなって一目散に逃げ帰る。
昔から、何回も経験している。
もう70近いこの歳で、今更、この暗闇の恐怖の対策が分かっても今後満足出来る登山が出来る訳でもないが、今回少し、暗闇の対処の方法が分かったような気がする。
でも、確かめるのは コ ワ イ な~。
ただ、不思議なのは、雪山の一人テント泊ではこの暗闇の恐怖に襲われたことはない。
テント泊の雪山。全力を尽くして何とかやっと無事に下山してこられる雪山。そんな厳しすぎる雪山では、実際には何もない暗闇の恐怖など感じている程、心に余裕がないのかも知れない。